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公益社団法人 日本学校歯科医会

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Q&A「学校関係・保護者のみなさま」

【保健管理に関する質問】

歯列・咬合が要観察と指摘されました。どのようなところを観察し、どのようになったときに精密検査を受ければよいのでしょうか?

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健康診断のときに要観察「1」と指摘されたら、どの部位、どの状態が要観察なのか、説明をよく聞いて子どもの歯並びの状態を確認してください。例えば、歯の生えかわりがおかしい、歯並びがガタガタしている、上下の歯がきちんと咬みあっていない等をよく観察してください。また、食事が食べにくい、発音がしにくい、顔の外見が気になる等があれば、養護教諭、学校歯科医あるいはかかりつけの歯科医に相談してみましょう。さらに次のような状態の場合、精密検査を受けることも検討した方がよいでしょう。

〇極端な受け口(反対咬合)や出っ歯(上顎前突)になっている
〇上あごと下あごが左右や前後に極端にずれている
〇奥歯でかんだとき前歯がかみ合わない
〇奥歯でかんだとき下の前歯が上の前歯にすっかり隠れてしまっている
〇歯と歯の隙間が大きい
〇歯並びが極端にガタガタしている 等

歯列・咬合が要観察と指摘されました。毎日どのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?

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栄養バランス、食材を考え、歯ごたえのある食品をよくかんで食べるようにしましょう。また歯ならびや口の健全な成長、発育に悪影響を及ぼす習癖を直し、あごの骨や筋肉を鍛えるなどして、健全に口腔機能が発達するようにしましょう。
具体的には
〇歯列や咬合に悪い影響を与える次のような癖は、早く直すように努力しましょう
食事の時にいつも片側だけでかむ癖・頬づえをつく癖・うつ伏せ寝や横向き寝・指吸い、頬(ほっぺた)吸い、唇吸い、舌の突き出しなどの癖・口を開けていることが多い。
〇日ごろから、規則正しい生活習慣を身につけ、口を閉じて背筋を伸ばした姿勢を心がけましょう。
〇食事は時間をかけてよくかんで食べましょう。
〇話をするときには、相手に聞き取りやすいようにはっきりと発音するようにしましょう。
〇むし歯や歯周病にならないように、歯みがきを丁寧にしましょう。 
〇上の前歯が前に出ていると、口や歯をぶつけやすく、唇が切れたり、歯が折れたりし易いので気をつけましょう。

顎関節を含む口腔器官の健全な成長・発達を目指して、左右均等によくかんで食事をするように努力しましょう。必要以上に神経質になることはありませんが、1年に2回ぐらいはかかりつけの歯科医院で定期的に経過観察してもらうようにしましょう

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また日頃から次のようなことに気を付けてください。
〇歯ぎしりや食いしばりをしないようにしましょう。
〇大きな物を無理に一口で食べたり、片側だけで食べたりしないように気をつけましょう。
〇わざとあごの関節の音を出すようなことはやめましょう。
〇できるだけ大きな口を開けないように心がけましょう。特にあくびをしたくなったときは要注意です。
〇頬づえをつく、いつも同じ方向を向いて寝るなどの習癖がある場合はやめるように努力しましょう。

【保健教育】

歯・口・顔の成長・発達に悪影響を及ぼす癖や習慣にはどのようなものがありますか?

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歯は、舌や頬や唇の圧力のバランスのとれた位置に並んでいます。このバランスが崩れると、歯の位置やかみ合わせに異常が生じます。かみ合わせのずれがひどくなると顎そのもののずれを生じさせることになります。圧力のバランスを崩す原因は、指しゃぶり、舌を前方に突き出す癖、唇をかむ癖、爪をかむ癖、歯ぎしり、偏咀嚼、頬づえ、いつも同じ向きに寝る、口呼吸などであり、生活習慣の中で見られるものがほとんどです。

歯・口・顔が健全に成長・発達するためには、どのようなことに気をつけて子育てすればよいでしょうか?

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悪い習癖を早めに直すようにすることや食事の好き嫌いなど偏食をなくすこと、よくかむことをお勧めします。歯みがき習慣を励行することも重要です。昔から、家族で食卓を囲んだとき、親は子供に、「姿勢をよくして、よくかみなさい」と注意をします。この言葉の中に質問に対する答えが入っていると思いませんか。まず姿勢を正すということです。頭がしっかりと安定していなくては、十分にかむ力を発揮することができません。首がふらふらしているようでは、首を支えている筋肉といっしょになって働く顎の筋肉の働きがしっかり発揮できないからです。首の筋肉もまた、全身の骨格や筋肉によって支えられています。つまり、かむことには、身体全体がかかわりを持っているのです。姿勢をよく保持するためには、身体全体を支えている足腰がしっかりしなくてはなりません。最近の子供たちは、家の中でテレビゲームなどをして遊ぶことが多く、外で運動して遊ぶことが少なくなっています。身体を動かすことが少なければお腹も空きませんし、食欲もなくなります。しっかりと運動し、正しい食習慣を身につけ、よくかんで食べることが大切です。

口を開けてクチャクチャ音を立てて食べるのですが、どうしたらよいでしょうか?

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口を開けて音を立てて食べることは、「礼儀作法」の点からも決してよいことではありません。昔から言われてきている作法は、心身ともに健康であるために理に適ったことだとも言えます。口を開けて食べれば、食べ物をこぼしやすく、かむ回数も減少します。飲み込むための食塊の形成もうまくいかないために、飲み込むときには、口のまわりの筋肉を無理に使って飲み込むようになり、よくない嚥下の癖がついてくることにつながります。歯列やかみ合わせにも悪い影響が出てきます。
原因として、アレルギー性鼻炎、アデノイド(咽頭扁桃肥大)、口蓋扁桃肥大などの鼻咽腔疾患、また上顎前突などで唇をうまく閉鎖できないというようなこともあります。これらが原因の場合は、その疾患に対する治療が必要ですが、まずは家庭で、「口を閉じて食べようね」と声掛けすることが大切です。また、口を閉じて食べられるように姿勢を正しくして、口に食べ物を入れた状態でおしゃべりせず、落ち着いて食べるようにし、一口量を少なくするなどの工夫も必要でしょう。

片側だけでかんでいるようですが、心配ありませんか?

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片咀嚼は、むし歯や不正咬合によって引き起こされる場合もありますが、単なる癖で片咀嚼をしている場合もあります。片咀嚼が長期間続くと、顎関節の異常が生じたり、骨や筋肉の成長・発育に左右差が生じたりして、顔が曲がったりする可能性もあります。横向きでテレビを見ながら食事をする習慣も良くありません。良い姿勢で左右バランスよく噛む習慣をつけることが大切です。

歯や口のケガの対処法について教えて下さい。

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歯のケガを「破折」、「脱臼」、「陥入」に分けて説明します。

  • 1.「破折」とは、歯が折れた状態です。その場合には折れた歯そのものから出血していないか確認して下さい。出血が見られたら歯髄の処置が必要なので直ちに学校歯科医か、かかりつけ歯科医を受診して下さい。出血がない場合には時間的に余裕があります。その際、大きな破折片があれば持っていってください。

  • 2.「脱臼」とは、歯が抜けてしまった(完全脱臼)か、抜けそうな状態(不完全脱臼)をいいます。抜けてしまった場合は、歯の保存液(なければ、牛乳か生理食塩水)をかけて汚れを軽く落としてから同じ液を入れた容器に歯を入れて直ちに学校歯科医か、かかりつけ歯科医を受診して下さい。抜けそうな場合も直ちに受診して下さい。

  • 3.「陥入」とは、歯が歯ぐきの中に潜ってしまった状態です。これはケガの程度がかなり重いと考えられます。 歯や口の状態以外にも意識があるか確認して、直ちに学校歯科医か、かかりつけ歯科医に連絡して下さい。意識障害がある時は病院への搬送が必要な場合もあります。

次に、口のケガでは、「軟組織外傷」、「顎骨骨折」に分けて説明します。

  • 1.「軟組織外傷」とは、唇や歯ぐきや舌のケガをいいます。歯の外傷に伴って起きていることも多いので、この場合には学校歯科医か、かかりつけ歯科医に連絡を取って判断を仰いで下さい。唇の外傷は放置すると硬結して変形することもあるので歯科医療機関を受診することが大切です。

  • 2.「顎骨骨折」とは、上あごや下あごの骨が折れた状態をいいます。歯や口のけがの中では最も重症なものです。意識を確認し、簡単な消毒をして至急学校歯科医か、かかりつけ歯科医に連絡をとり、病院(口腔外科)に搬送して下さい。

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