乳歯う歯

乳臼歯が後続の永久歯と交換する時期は10～11歳である。この時期まで乳歯は健全に機能する必要がある。現在、3歳児の乳歯のう蝕罹患は以前に比べて低くなっており、平成28年の一人平均う歯数は、1.0本となっている。また就学時である5歳児では1.7本に増加するが、以前に比べて減少しており、一部の幼児に多数のう歯が見られる傾向にある。また、う歯を持つ者の割合は3歳児では、8.6%であるが、5歳児では39.0%に増加する。就学前の低年齢で発生したう蝕は急性に進行し、就学後には歯の崩壊が進み歯痛を起こし、咀嚼などの機能にも影響を及ぼす。そこで就学時の健康診断では乳歯の未処置歯についても検査し、う蝕が進んでいる場合は就学前の早い時期に治療を受けておくよう保護者に勧告すべきである。要観察歯(CO)の見られる場合は、保護者に対して、間食の摂り方や口腔清掃などの保健指導を行うとともに、地域の医療機関等(かかりつけ歯科医)での専門的管理を勧めることも考えられる。また、乳歯3歯以上の処置歯がありCOが検出されたものは、う蝕多発傾向者として、専門家による継続的な管理、予防処置を促すため、その旨を担当歯科医の所見欄に記載し地域の医療機関等の受診を勧める。

*う蝕多発傾向者:歯科疾患管理料におけるう蝕多発傾向者の判定基準(5～7歳)を準用し歯冠修復終了歯が、乳歯3歯以上、または、永久歯1歯以上で、かつCOが検出された者とし、保護者に保健指導を行うとともに地域の歯科医療機関との連携を促す。

「就学時の健康診断マニュアル平成２９年度改訂」の５１Ｐより抜粋
― 公益財団法人 日本学校保健会 発刊 ―

「健康診断票」及び「健康診断結果のお知らせ」の記載方法について

• ①健康診断票の記載方法
  健康診断票（第一号様式）にはCOは記載しません。
  う蝕多発傾向者として担当歯科医師所見欄に記載いただくことになりました。
• ②健康診断結果のお知らせの記載方法
  各教育委員会で様式が異なります。歯式等がある場合には、相当部位に
  COを記載する等、記載できるところがある場合には記載します。
  「その他口腔の疾病及び異常」欄、もしくは最下段の「備考」欄に
  「う蝕多発傾向のためかかりつけ歯科医と相談」もしくは
  「むし歯になりやすい傾向があります。かかりつけ医と相談」などできるだけソフトな表現で記載してください。
  
  記載方法等はそれぞれの地域の教育委員会の指示に従っていただいて結構です。