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公益社団法人 日本学校歯科医会

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学校種別の課題

特別支援学校

学校教育法第72 条に「特別支援学校は,視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して,幼稚園,小学校,中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに,障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」と規定されている。
特別な支援を必要とする子どもにとって,歯・口の健康づくりの実践は,身体の健康をはじめとして「食べる」「話す」という口本来の機能・形態を健全に育成することで,生活の自立や社会生活への参加,障害の改善や克服にも繋がりQOL を向上させる重要な活動であり,まさに歯・口の健康づくりが「生きる力」を育むことである。
指導に関しては一人ひとりの障害の種類や程度に応じて個別の目標を設定する必要がある。

心身の特徴
障害の種類によって歯列不正,歯数の不足,形成不全,形態異常などが生ずることがあり,また摂食障害や発音障害などの機能障害もある。歯・口腔内の状態も障害の内容,程度により一人ひとりが異なる状況である。
保健指導のねらい
特別支援学校においては「自立活動」が特別な領域として設けられており,その「自立活動」の内容として「健康の保持に関する内容」が示されている。指導に際しては個々の児童生徒の障害の状態や発達の段階の的確な把握に基づき,指導の目標及び指導内容を明確にし,個別の指導計画を作成するものとしている。歯科保健活動は,「自立活動」の内容の指導とも関連させて進めることが大切である。
課題
  • 歯・口の健康の大切さの理解
  • 歯・口の発育と機能の発達の理解
  • 歯・口の健康づくりに必要な生活習慣の確立と実践
  • むし歯や歯周病の原因と予防方法の理解と実践
  • 障害の状態,発育,発達段階を踏まえた支援と管理の実践
  • 必要な介助と支援の実践
  • 歯・口の外傷の予防の支援と管理
*他の各学校段階等の課題も参考とする。
指導の特質
  • 継続的な指導
    幼児期からの口腔機能の発達を促す。
    歯口清掃の習慣化を図る。
  • 幼児期から学校卒業後まで生涯を見通した一貫した指導
    長期的な展望の下で,自らの力を可能な限り生かし,健康的な生活が実践できるよう「歯・口の健康づくり」についての計画的,継続的な一貫した指導を行うことが大切である。
  • 発育・発達を全体的に捉えた指導
    心身の健康を保持し,QOL を高めていくためにも,歯や口の形態や機能が健全に維持されるとともに身体の健康状態や心理状態,食事姿勢や食器具など食事環境を考慮した指導を行うことが大切である。
  • 個別指導の徹底
    障害のある子ども一人ひとりの障害の状態や発達の段階等を把握した上で個別の指導計画を作成し,具体的な目標を設定し,それに向けて継続的なきめ細やかな指導を行うことが極めて重要である。
  • 保護者,学校歯科医,主治医,専門機関との連携
    障害のある子どもの歯科保健の推進及び卒業後,生涯にわたり生活圏内で継続的な歯科保健管理を受けられるように,学校歯科医や教職員,保護者のみならず地域にある保健所,保健センターや医療機関が連携をとり,専門の立場からの指導や協力を行うことができる体制づくりが必要である。
  • 歯科疾患の治療,定期健康診断,予防に関する指導や口の機能の発達を促す指導における連携
    障害のある子どもは,歯科疾患が身体の健康状態や発達へ及ぼす影響も大きく,また,痛みへの感受性が低かったり,歯科受診,治療が困難な状況なども見られたりすることから,まず予防を基本とし幼少期から定期的に健康診断を受ける習慣や態度を身に付けておくことが大切である。
  • 指導方法の工夫の必要性
    運動機能障害などで特に指先の力や握る力が弱い場合には,歯ブラシの握り部分を太くして握りやすくしたり,握り方の工夫をして動きの安定を図ったり,姿勢を安定させ本人がみがきやすい状態にするなど,障害の種類や状態に応じた指導の工夫が大切である。
指導内容
  • 歯みがき指導
  • 食生活や生活リズム
  • 食べる(摂食)指導

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